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魔天道ソナタとは


概略

天城小百合によるファンタジー少女漫画。
「月刊プリンセス」(秋田書店)にて、1986年(昭和61年)6月号から1993年(平成5年)10月号まで連載された。
プリンセスコミックスより単行本全20巻、文庫版全10巻が刊行されている。


昭和の末期に連載開始した作品の為、作中では、ハラスメント・差別・虐待・犯罪に当たる発言や行為が、ごく一般的な事象として頻出する。
これらは令和の価値観に於いては問題行動として糾弾を受ける内容であるが、当時の少女達にとっては日常のものであった。
本作品は、男女平等教育を受けながら男尊女卑思想を内在する社会で生活し、ジェンダー差別をそれとして認識する事もできなかった時代の少女達が、言語化できない苦しみをファンタジー世界の少年愛に仮託する事で救済を得た、過渡期ならではの作品として認識されたい。

なお、連載開始時、作者である天城小百合もまた、成人したばかりの少女であった。
読者層と非常に年齢が近かった事もあり、作者もまた、読者層の少女達の感じている苦しみを共有していたと思われる。故にこそこの作品は少女達を救済に導く事ができたのかもしれない。
昭和の終わり、女性差別が差別とすら認識できないほどに日常に浸透していた時代、差別意識の言語化を得る直前に、新しい時代の足音を感じ始めた思春期の少女達に熱烈な支持を受けた、少女漫画の名作である。

世界観

空の彼方にある天上界の物語。
天上界は「天界」「魔界」「魔道界」という3つのエリアに分かれている。
天界と魔界は太古には隣接し戦闘状態にあったが、強力な魔道士が「魔道界」を作る事で両世界を分断した。
天界には天使が、魔界には悪魔が居住するが、天使と悪魔は属性ではなく職業に過ぎない。
天上界に生まれる子は中学校を卒業するまで属性の区別を持たず、また、半数程度は天使にも悪魔にもならずに他の職業に就く。
ただし、100年に1人の頻度で「生粋の悪魔(ラー・デビル)」「生粋の天使(ラー・エンジェル)」が誕生する。

天使と悪魔は協力して地上で死んだ人間達の魂を迎えに行く。
彼等に迎えられた人間の魂は大天使ミカエルにより選別され、負のオーラを持つ魂は魔界で浄化された後に天国に移動し、輪廻転生する事になる。

天界
天使達の世界(悪魔は入れない)。大天使ミカエルが統治する。
魔界
悪魔達の世界(天使は入れない)。魔王サタンが統治する。
魔道界
魔道士が統治する世界。天使と悪魔も入る事ができる。
迎え霊
天使と悪魔が協力して行う仕事。
死にゆく人間の魂を迎えに行き、悪魔が願い事を2つ叶え、天使が輪の光で魂を天まで導く。
パートナーは固定されている事が多く、協力者(レアン)と呼ばれる。
ラヴァーズ
天使と悪魔の夫婦のこと。
男女のレアンはラヴァーズになる事が多い。
生粋の悪魔(ラー・デビル)
生まれついての悪魔であるラー・デビルは、その魔力により負力波を昇華させる役割を持つが、制御に失敗すると負力波に飲み込まれ闇魔となってしまう。
その為通常は生後ひと月ほどで親元から離されサタンの城で養育される。
宇宙の蒼
強大な力を持つ蒼い宝石。また、その力そのものの事も指す。
物語冒頭においては2つの宝石が存在し、それぞれ天界と地上に封印されていた。
月の涙(ムーン・ティア)
宇宙の蒼を封印する宝石。また、宇宙の蒼を封印する力を持つ存在そのものの事も指す。

キャラクター

主要人物
ミカエル・レナン
天使。青銀の髪と蒼い瞳を持つ美少年。本作の主人公。男。
天使の母と悪魔の父から生まれた。
幼少期に起こった事件により心を閉ざしてしまう。その後フィラと出会い多少改善されたが、ごく一部の親しい相手以外に対しては壁を作りがち。
人を拒絶する態度や不吉な瞳の色から、その美貌にも関わらず疎外されている。
能力は高いが自己肯定感が低く、鬱屈に捕らわれがち。

フィランゼア・ランシュラ
悪魔。金髪に若草色の瞳を持つ。男。
天使同士の両親から生まれた。素直で天真爛漫な性格であり、誰からも愛される天使そのもののような性格だが、幼少期に魔王サタンに救われて心酔している事から悪魔になる道を選んだ。
子ども時代に出会ったミカエルに恋しており、常に熱烈な愛情表現を惜しまない。
ミカエルにすげなくされてもまったくめげる事は無く、ミカエルからの親愛に対する確信を得ているような振る舞いからは、非常に自己肯定感が高く楽観的な性格が見て取れる。思いついたら即行動の性格でもあり、失敗も多いがあまり悩まない。

関連人物
ファル
魔道士。長のひ孫であり、飛び抜けて高い魔道力を持つが、制御が不安定で使いこなせていない。
年齢に比して幼く、無邪気で天真爛漫。その稚さ故かミカエルとも仲が良く、フィラとミカエルの良き友人である。

ウァーリ
魔道士。長の補佐官。
ファルのお目付役的立場でもあり、ミカエルやフィラとも親しい。

ベルゼ
悪魔。フィラの同室の友人。
陽キャな遊び人でフィラの良き理解者。物語途中で複雑な生い立ちである事が判明する。

真人(まひと)
生粋の悪魔(ラー・デビル)。
特殊な事情により人間界で人間として育つ。
フィラとミカエルにより魔界に誘われた経緯があり、2人の友人となる。

サタン
魔界の統治者たる悪魔。
天上界における予言の全てを知り、ミカエルとフィラが運命の子であると見抜いて見守ってきた。
なお、予言の全てを知るのはサタンと魔道士長のみである。

あらすじ

かつて神が2つに割り天界と地上界に封じた魔石「宇宙の蒼」の片方を、邪悪な心を持つ人間が手にした事から物語が始まる。
大天使ミカエル及び魔王サタンにより、天使ミカエルと悪魔フィラは「宇宙の蒼」の回収を命じられる。2人は石の奪還に成功するが、その際に封印の石「月の涙」が失われてしまう。
やがて天上界に異変が生じ始め、運命の子であるミカエルを巡って全ての世界が終末へと突き進んでいく。


重い宿命と強大すぎる能力を持つが故に目を付けられ、幼少期に残酷な体験を仕組まれて自己肯定感を破壊された少年ミカエルが、彼を無条件で愛し守り支えてくれるフィランゼアと出会い、その愛に救われ、その愛を拠り所に己の使命を受け入れて神話を生み出すまでの物語である。

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